歩行の「量」と「質」について(その5) ~ポイントは、手の使い方~

歩く時の手の使い方(向きと形)


『歩行の「量」と「質」について』シリーズの第5回です。

前回(その4:4/28)、『安全で効率的に歩くコツ』として

手の使い方(向きと形)

  • 手の向き:手のひらを前(進行方向)に向ける。
  • 手の形:薬指~小指を軽く握る。(親指~中指はあまり握らない)

というものをご紹介しました。

今回、なぜ、手の使い方で歩き方が変わるのか、ご紹介したいと思います。



初めに、リラックスして立っているとき、そして歩いているときに、ご自身の手がどちらに向いているかをチェックしてみましょう。

  1. 手のひらが自分の身体の方を向いている
  2. 腕が内向きにねじれ、手のひらがやや後ろ(手の甲が前)を向いている。
  3. 腕が外向きにねじれ、手のひらがやや前(手の甲が後ろ)を向いている。

どうでしょうか?1や2の方が多いのではないかと思います。

これは、腕を内向きにねじる筋肉の方が外向きにねじる筋肉より大きくて強いので、肩を「固定して」「緊張させて」使っていると自然と内向きにねじれてきてしまう為です。


中には右手と左手で手の向きの特徴が異なる方もいらっしゃるかもしれません。

(右は手の甲が前、左は手のひらが自分の身体の方を向いている、など)


左右で異なる方は、身体の左右の一方が「緊張、固定」し、他方が「ゆるんで」いるなど身体の使い方のクセ(左右差)が強いことが考えられます。

なお、緊張の強い側の腕が内向きにねじれることが多くなります。



さて、前々回(第3回:3/28)のメルマガにて、「肩や腰の外側の筋肉が頑張り過ぎると、お腹の内側の筋肉がさぼる」という身体の仕組みに触れました。

併せて考えますと、腕が内向きにねじれ、手のひらが後ろを向きやすい方というのは普段から肩を含め上部体幹の緊張が強く、お腹の筋肉は使いにくい状態になっているかもしれません。


手のひらが後ろ向きだったという方は、1日1分でも良いので、肩の力を抜いて、手のひらを意識して前に向けて歩いてみましょう。

はじめは少し違和感があるかもしれませんが、段々と慣れてくると思います。

今まで肩を緊張させて(お腹を緩ませて)歩いていたところから、脳や神経が「お腹を使って歩く」という戦略に自然と切り替えていきます。



最後に、手の形(握り方)についてです。

手の形と手の向きにも関係があります。


小指と薬指を握る

↓↑

腕が外向きにねじれる(手のひらが前を向く)

↓↑

肩など身体の外側の筋肉がリラックス

↓↑

お腹など身体の内側の筋肉が活動Up

↓↑

安全で効率的な歩行



試しに、小指と薬指だけ軽く握って(それ以外の親指~中指は軽く伸ばして)、手をぶらんと身体の横におろしていただくと、自然と腕が外向きにねじれ、手のひらが前に向いてくるのが分かりますでしょうか?

反対に、親指~中指を握って(小指と薬指を軽く伸ばして)、手をぶらんとおろすと腕が内向きにねじれ、手のひらが後ろを向きます。



手の使い方(向きと形)

  • 手の向き:手のひらを前(進行方向)に向ける。
  • 手の形:薬指~小指を軽く握る。(親指~中指はあまり握らない)

是非、1,2か月やってみていただき、ご感想をお知らせいただけましたら幸いです。


(担当 野澤)





解説動画もございますのでご覧ください。



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