歩行の「量」と「質」について(その1)

 
    

「歩くことは健康に良い」

ということは色々なところで耳にされると思います。

実際、世界中の多くの研究が、歩行の健康効果を裏付ける報告をしています。

 

では、健康に長生きするため、私たちは1日にどのくらい歩けばよいのでしょうか?

 

平均年齢72歳の16741人の女性を対象としたアメリカの研究(※1)によると、7日間の歩数計測の後、追跡期間中(平均4.3年間)に504人の死亡を確認し、歩数が多いほどその死亡リスクが少ないことが示されました。

1日の歩数が約4400歩の場合、約2700歩/日の最も非活動的な場合と比べて死亡率が41%低下。

約7500歩/日までは歩数の増加にともない死亡のリスクは低下していき、約7500歩/日でリスクが最低となり、それ以上の歩数ではリスクの低減は見られず横ばいとなります。

歩数と死亡リスクの関係
歩数と死亡リスクの関係

出典(※1):Lee IM, Shiroma EJ, Kamada M, Bassett DR, Matthews CE, Buring JE. Association of Step Volume and Intensity With All-Cause Mortality in Older Women. JAMA internal medicine. 2019.

https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/2734709
 

かつて、「1日1万歩」といわれた時代もありましたが、上記の研究からは、歩数による健康効果は約7500歩/日で頭打ちとなり、それ以上歩いてもプラスの健康効果は見られないということの様です。

群馬県中之条町で行われている有名な健康調査、中之条スタディ(東京都健康長寿医療センター研究所 青柳幸利先生 他)によると、やはり8000歩/日ということが目安として示されており、歩き過ぎは健康を害することにもつながるそうです。

 

弊社では社員全員が歩数計を身に付け、健康管理に活かしております。

 

意外と自身の歩数というのは認識していないもので、日々計測をしていると

「内勤の日は4000歩台」

「1日出張に出ている日は10000歩以上」

など、傾向が分かってきて面白いものです。

 

今はスマートフォンでも簡単に歩数を計測できるアプリがありますので、お気軽に健康管理に活かしていただけると思います。

 

さて、歩数というのは歩行の「量」を示す指標です。

「毎日8000歩あるくぞ!」とウォーキングを日課にしている方にとって、「歩数」は取り組み(努力)の指標になります。

また、仕事に出かける、買い物に出かける、孫の面倒を見る、…など、活動的な生活をしていれば、意識せずとも自ずと「歩数」(=歩行の「量」)が多くなりますので、「歩数」は自身の生活が活動的であるかを知る指標にもなります。

前者は「歩く(活動)」ということ、後者は「歩ける(活動的な心身の状態)」ということです。

自治体の健康づくり担当の方の話をお聞きしていると「(まじめな方ほど)健康のために!と歩きすぎて膝や腰を痛めてしまい、結果として歩けなくなってしまうことが実に多い」とのことでした。

1日に8000歩「歩ける」状態ではないにも関わらず、無理をして8000歩「歩く」活動をしてしまうと、人の身体も構造物ですので、いずれ壊れてしまいます。

人生100年時代、短距離走(100m)ではなく超長距離走(100マイル)です。

歩き続けるためには、身体の声を聞き、ケアし、コンディショニングし、壊れない様に労わって、「歩ける」状態を維持することが重要です。

今回は、歩行の「量」と「質」のうち、研究からも健康維持に重要だといわれている歩行の「量」と健康効果についてご紹介をさせて頂きました。

次回(2月28日(月))では、「歩ける」状態を保つためにどうするか、どう歩くか、という歩行の「質」(=歩き方)について書いていきたいと思います。

引き続きお付き合いいただけますと幸いです。

(担当 野澤)


講演内容に関連した製品『転倒リスク歩行健診システム MVP-WS2-S-WE』のWebページもご覧ください。

『転倒リスク歩行健診システム MVP-WS2-S-WE』製品ページはこちら


『転倒リスク歩行健診システム MVP-WS2-S-WE』に関するお問い合わせは下記よりお気軽にお問い合わせください!

問い合わせフォームリンクはこちら