HOME > 応用事例 > ウェアラブルなセンサと通信を使った在宅健康管理システム

モーションセンサの人体運動センシングへの応用例2 ウェアラブルなセンサと通信を使った在宅健康管理システム

ビム・スポーツメモリを見る

センサ技術で健康社会に貢献したい

高齢社会に直面して多くの人々が健康には高い関心を持っています。しかし我々は自分が病気になるまでは日頃の健康管理に真剣に取り組まないという、高度経済成長期に染み付いてしまった働きバチの習性を持ってしまったようです。これが生活習慣病蔓延の現実でもあります。そこで、腕時計感覚で身に付けるだけで、日常生活をモニタしてくれ、健康に関する適切な情報・アドバイスを与えてくれるようなセンサシステムがあったら、新たなコミュニケーションが生まれ、楽しみながら自然と健康意識が高揚されるのではないでしょうか。我々は「動きを検出、計測するセンサ技術で社会に貢献したい」と志してマイクロストーン鰍創業しましたが、創業当初から自前のセンサを用いて人の動きや生体情報を検出し、これを無線で刻々と病院や健康センタへ送り、人の健康・安心に役立てたいと願っていました。

ウェアラブルセンサ誕生

腕時計型運動識別装置,イメージ

このアイデアは、大学や公的研究機関、病院などの支持、支援を戴いて、徐々に実現してきました。2001年度には、角速度センサ(ジャイロセンサ)で、体の進行方向に平行な腕の振りを、加速度センサで腕の長手方向の力や動きを検出し、その成分の大きさ、周期性等を分析するアルゴリズムによって、体全体の複合動作を、10種類の行動パターン(ウォーキング,ジョギング,スポーツ等)として2秒毎に識別し、集計・記録する装置を開発しました。(写真1、図1) この腕時計型運動識別装置は、動作が歩行または走行の場合には、その歩数を正確にカウントすることはもちろん、各行動パターンに対応する運動強度、体重、年齢、性別などをパラメータとして、運動による消費エネルギーをリアルタイムで計算できます。

ViMが腕を通じて語ってくれるデータ,イメージ

センサと携帯電話による健康・安心システム

2002年度には上記ウェアラブルセンサに脈拍センサも搭載し、複数センサ情報を、携帯電話のメール機能を使用してサーバに送信し、ポータルサイトを通じて、個人の健康情報をフィードバックしてくれるシステムを実験的に構築しました。このシステムは、1日、1週間、1ヶ月の運動量などを集計・提示してくれるだけでなく、生活状態の異常を自動判別し通知してくれる「健康・安心システム」として、リハビリテーションの現場、健康管理センターにおいて評価実証実験を行い、現在事業化を検討中です。 2003年度にはセンサ情報を積極的に活用して、ダイエットや在宅健康管理を行うためのアプリケーションソフトウェア(図2)を充実させた結果、実際にダイエットを達成し、健康に対する意識が変ったというお客様からの声やデータをお送りいただくなど、好評を博しております。

ダイエットアプリケーションの1画面,イメージ

長野県の豪雪地帯である栄村における、広帯域ネットワークを用いた高齢者の健康増進システムの実証実験では、このウェアラブルセンサが厳冬期の孤立した高齢者間のコミュニケーションと健康意識高揚に大変有益なことが確認できました。しかし、同時に60歳以上の高齢者にとって、パソコン(PC)の利用は苦痛であり、PCの操作がほとんど不要なシステムこそが求められていることを認識しました。

ウェアラブルセンサと通信技術で在宅健康管理

この問題の解決策として、2004年度には無線技術を駆使してウェアラブルセンサからPCへ直接情報を送信できるようにしました。この無線通信技術によって、ウェアラブルセンサの活用範囲が格段に広がります。病院や企業内健康管理センタにおいては、患者さんにウェアラブルセンサを腕に付けてもらうだけで、運動療法の進み具合や、リハビリテーションによる回復具合が、医師の簡単な操作によって画面表示されることになります。もちろん、従来の在宅健康管理やダイエットアプリケーションに組み込むことで、PCに不慣れな高齢者や体の不自由な人でも楽しみながら在宅健康管理ができ、糖尿病患者等の生活習慣の改善ができるようになります。 現在、肥満や糖尿病に悩む人は予備軍も含めると、1,400万人以上いると言われています。現代文明が作り出した生活習慣病の患者にとって、身に着けるだけで、自分の健康状態がパソコンやテレビ画面でわかるシステムが提供されれば、健康に対する意識が変わり、無理のない健康回復、健康増進ができるようになります。

最後に

共同で研究開発や改良、実証実験に携わっていただいた下記協力者の方々に深く感謝いたします。 山形大学工学部,信州大学(医学部,工学部)、東京大学工学部,長野県(工業試験場,情報技術試験場,精密工業試験場), (財)新エネルギー産業技術総合開発機構, 中小企業振興公社、経済産業省。(機関名・組織名等は共同開発当時のものです)

テクニカルニュースがダウンロードいただけます。

テクニカルニュース('05年8月号)

 (MST_TechNews0508.pdf / 111kB)